生き方を学ぼうとすると、やはり古典である「論語」に行きつきます。
今なお多くの人を魅了し、数多くの名言がある論語の中でも好きな言葉を厳選しました。
目次
1.学ぶことは人生の喜び
現代語訳(論語 齋藤孝訳:ちくま文庫) (以下の現代語訳もすべてこちらからの引用となります。)
”先生がいわれた。「学び続け、つねに復習する。そうすれば知識が身につき、いつでも活用できる。実にうれしいことではないか。友人が遠くから自分を思い出して訪ねて来てくれる。実に楽しいことではないか。世の中の人が自分のことをわかってくれず評価してくれなくても、怒ったり恨んだりしない。それこそ君子ではないか」”
私が度々思い返す論語の言葉。
「人知らずしてうらみず、また君子ならずや」
”人に認められようが認められまいが、そんなことを気にしてはいけない。君子というものは、そういうことにこだわらない人のことである。”
そうありたいと願うけど、なかなか難しいものです。
2.人の評価よりも大切なこと
現代語訳
”先生が言われた。「自分をわかってもらいないと嘆くより、人を理解していないことを気にかけなさい」”
生きていると自分がどうしても中心になりますが、相手が自分を知らないことに憤ったり、落ち込んだりするんではなく、まずは自分が相手を知ることが大切です。
相手の評価に縛られず、自分にとって相手はどうであるか、もっと大切にできるかを考えられるようになりたい。
カーネギーの名著『人を動かす』で、”人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認めれることを渇望する気持ちである”とあります。
人間は認められたいと思う生き物だからこそ、「自分が認められること」に意識をもっていくのではなく、「他人を認めること」に集中したいものです。
論語には他にも、「人の己を知らざるを患えず。其の不能を患うるなり」(現代語訳:人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、自分に才能のないことを気にかけることだ。)など似た言葉も出てきます。
3.危機での対応
現代語訳
”君子ももちろん困窮することはある。小人は窮すると心が乱れて、でたらめなことをするが、君子は乱れない。(そこが違いだ)”
いかなる状況にあっても、変わらない態度や姿勢を持つことが大切です。
危機的な状況の時の方が、その人がどういう人間なのかという本性が顕著に現れます。
中国の他の故事に「疾風(しっぷう)に勁草(けいそう)を知る」という言葉があります。
意味は、「難や試練に直面したときに、はじめてその人の意思の強さや節操の堅固さ、人間としての値打ちがわかること」のたとえです。
「疾風」とは、速く激しく吹く風。「勁草」とは、風雪に耐える強い草という意味です。
古くから、困難な時の対応こそが大事だと言われてきたのですね。
4.他人との関係性
現代語訳
”孔子は言った。君子は他者と調和し上手くやっていくが、決して他者に引きずられたり流されたりしない。
つまらない人は、他者に振り回されたりこびへつらったりするが、決して他者と調和しようとはしない。”
これは私の大学卒業時に恩師より贈られた言葉であり、私にとって大事な意味を持っています。
あの当時は何にも考えていなかったが、こうして振り返るとすごく素敵な言葉だとつくづく感じます。
大人になって改めて論語を読もうとしたきっかけはこれだったのかもしれません。
5.学びを生かすためには
現代語訳
”物事を学ぶだけで、自分の頭で考えなければ、物事ははっきりしない(本当の知識が身につかない)。
自分で考えるだけで、師から学ばなければ、それも(独断・独善の弊害が生まれ)危険である。”
6.自分の限界をつくらない
現代語訳
”本当に力が足りない者なら、やれるだけやって途中で力を使い果たしてやめることになるはずだ。
しかし、お前はまだ全力をつくしていない。今おまえは、自分で自分の限界をあらかじめ設定して、やらない言い訳をしているのだ。”
意外とこういうことが多いのではと思います。
自分自身の限界を見定めて、本来あるべき力を十分に出せていないことがある。
7.文章の役割とは
現代語訳
”文章は、意味が伝わるのが何より大切だ”
自分が言った、言わないではなく、相手に伝わったかが大事。
そのためにも、相手にちゃんと伝えられているか、本当に伝わるように工夫ができているかを常に自問自答したい。
8.知ることとは
現代語訳
”はっきりわかっていることだけを「知っている」こととし、よく知らないことは「知らない」こととする。このように「知っていること」と「知らないこと」の間に明確な境界線を引ければ、本当に「知っている」と言える。”
大人になると、わからないことをわかりませんとちゃんと言えなくなるのです。
なんとなくぼんやりはわかることがあるので厄介です。
それでも、何を知っていて、何が知らないかを見定めることがまずは出発点ですね。
9.失敗した時には
現代語訳
”過ちをしても改めない、これを本当の過ちという”
これも現代でもよく起こることではないでしょうか。端的に言うと、反省をしていないのです。
同じ経験をしても、成長する人としない人がいますが、その差は「振り返り」をするかどうかです。過去の経験を振り返り、気づきを得ることで、次は同じ失敗をしないようにするのです。
今日のまとめ
私の心に残っている論語の名言を9つ取り上げました。
改めて読み返しても、どれもこれも素晴らしい言葉ばかりです。
やはり長い歴史の中で残ってきたものは、含蓄が違います。
この他にも心揺さぶられる言葉が多くあるので、自分なりの論語の名言が見つかるといいですね。
論語をより学ぶための2冊
1ページの見開きの図解で、非常にわかりやすく書かれています。
中国古典はとっつきにくいと思われている方にもおすすめです。
2.論語(斎藤孝)
斎藤孝先生の論語は、読み出し文と現代語訳がセットで書かれていて読みやすいです。
今回ピックアップした言葉以外でもよい言葉は多くありました。
手元において何度も返したくなるようなものです。
▼合わせて読みたい (古典からTwitterの名言まで好きな言葉をあつめました。)