読書

なぜ、松下幸之助さんの「道をひらく」はビジネスマンに読み続けられるのか?

2021年1月15日

松下電器(現在のパナソニック)を創業し「経営の神様」とも呼ばれた松下幸之助さんの著書です。1968年の初版から累計で520万部を突破した、日本を代表する大ベストセラーです。

私も数年前に手にしてから、何度も読み返しています。その時の置かれた立場によって、新たな気づきを本から得ています。

今回は、その「道をひらく」の中でも特に好きな言葉をご紹介したいと思います。

不朽の大ベストセラー「道をひらく」

この本の良さは3つあります。

①松下さんの真っすぐな思いが平易な言葉でつづられていること

②若い方からリーダー層まで幅広い方が参考になる普遍的な内容であること

③文庫本で手に取りやすく、見開き2ページの短編にまとめられ読みやすいこと、が挙げられます。

昭和、平成、令和と時代を超えて、多くのビジネスマンに読まれ続けてきたのも納得できます。

自分に与えられた「道」

自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。狭い時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。

(中略)

他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め懸命にあゆまねばならぬ。

それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。

「道をひらく」松下幸之助 ~ P.10 道

私は、この冒頭にある「道」をいう一節はこれまでに何度も何度も読んで、繰り返し読んで常に忘れないようにしています。

過去、仕事でうまく行かずに、本当に逃げ出したくなる時でも「自分の道を休まず歩め」と強く語りかけられました。

また、多少仕事に余裕がでてくると、(僕も未熟なので)もっと活躍している周りの人を羨ましく思ったりすることもあります。

そんな時には「他人のことよりも自分の役割を果たせ」と叱責してきます。

やはり、仕事をして生きていく上では、良い状況でも悪い状況でも、大小色んな悩みは尽きないものです。

そんな際には「自分に与えられた道を歩む」という根源的な考え方を忘れずにいたいです。

素直に生きる

逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。

素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。逆境、順境そのいずれもを問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただその境涯に素直に生きるがよい。

P.12 素直に生きる

ここ以外の章でも「素直に生きる」というフレーズは何度も何度も出てきます。

それほど「素直さ」は大事なことであり、松下さんが本当に伝えたいメッセージなんですね。

素直さを失った時、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。

あなたは、悪いことが起きている時に、嘆いたり、愚痴を言ったりしてませんか?

うまくいっている時には、それを「当たり前」だととらえていませんか?

やはり、「素直さ」はいつでも忘れてはならない気持ちです。

素直な心=謙虚な姿勢

また、松下さんの影響を多大に受けた京セラの創業者・稲盛和夫さんは素直さについてこう記しています。

”素直な心とは、自分の至らなさを認め、そこから惜しみなく努力する謙虚な姿勢のこと”

出典:「生き方」(稲盛和夫)

松下さん、稲盛さんといった日本を代表する経営者や偉大な人物ほど、素直な気持ちを大切にしている様子が伺えます。

決断を下す

進むもよし。とどまるもよし。要はまず断を下すことである。みずから断を下すことである。それが最善な道であるかづかは、神ならぬ身、はかり知れないものがあるにしても、断を下さないことが、自他共に好ましくないことだけは明らかである。

P.80 断を下す

リーダーとしては、決断をして組織をゃんと率いることが大切です。

もちろん正しい判断に迷う時はあるでしょう。選択肢があれば思い悩むこともあるでしょう。

仮に間違っていたとしても、決断をして、方向を示すことがより重要なんですね。

後生大事

仕事が成功するかしないかは第二のこと。要は仕事に没入することである。一心不乱になることである。そして、後生大事にこの仕事に打ち込むことである。そこから、ものが生まれずして、いったい、どこから生まれよう。

P.204  後生大事

「後生大事」とは、非常にたいせつにすることです。元々は仏教用語で「没後や来世の安楽を願って、今を大切に仏道に励むこと」とのこと。

どうしても成功するかどうかに頭が行きがちですが、自分ができることを一生懸命やることが大切だと気づかされます。

結果を思い悩んだりすることよりも、目の前のことだけに精一杯向き合っていきたいです。

今日のまとめ

松下幸之助さんのベストセラー「道をひらく」について、私の好きな言葉をご紹介しました。

松下さんの本を読んでいると、「素直さ」が多く出てきます。

それは、自分自身の置かれた立場を理解し、感謝したり、反省したりする真っすぐな気持ちを持つことだとも言えます。

私も時折あらためてこの本に触れることで、自分の至らなさを認め、さらに努力しようと気持ちを改めることができるのです。

▼あわせて読みたい(松下さんの影響を強く受けた稲盛和夫さんの考え方)

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