読書

独学は孤ならず。『独学大全』から学んだ9つのポイント

2022年6月11日

「独学大全」から始めよう

独学大全』は、ロングセラー『アイデア大全』『問題解決大全』の著者・読書猿さんによる勉強の百科事典です。
最新の学習科学・心理学・哲学・行動分析学・心理療法などあらゆる分野の知識をもとに、それらを学習用に最適化した55の技法が収録されています。

著者の読書猿さんは、独学についてこのように言っています。

独学は学習の最後の砦、セーフティネットのようなものだと思っています。どれだけ学ぶための機会や資源が限られていても、たとえ奪われても、最後に独学という希望が残っている。独学があるから「あなたがあきらめないかぎり、知はあなたを見放さない」と言い切れる。

出典:https://book.asahi.com/article/14080904

1.勉強が出来ない理由は、明確である。

誰かが勉強できない最大の理由は、勉強にそれだけの時間を配分していないから、もっと言えば、人生の中で勉強の優先順位を高くするのに失敗してきたからだ。

独学大全 P5

どれほどの効果があるやり方も、持続可能でなければ何の意味もない。またろくでもないものを効果的に学んでも、余計害があるだけだ。つまり影響の大きさで言えば、「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」が大事だし、「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重大だという話だ。

独学大全P7

イントロダクションで出てくる言葉です。

「勉強に時間をを配分していないから」「何を学ぶよりも、学び続けるか」

かなり真っすぐな言葉が並びます。勉強法を手にすると、どうすれば効率的に学べるかを考えがちですが、著者はそれを一蹴するのです。

2.志の強さは、その繰り返しの中に生じる

志の強さは、それを立てた瞬間にでなく、自身の行為や思考を絶えず志に結び直した、その繰り返しの中に生じる。

独学大全P67

意志の強さとは、決して揺るがない心の中に宿るのはなく、弱い心をもちながら、そのことに抗い続ける者として自己を紡ぎだし、織り上げようという繰り返しの中に生まれるのだ。

独学大全P68

これらの言葉も強く心に響きます。

志を持ち継続することこそが、重要なことが生み出すのですね。

著書からの「心折れそうになりながらも、それでも繰り返し続けなさい」というメッセージが、私たちの支えになります。

3.独学をつづけるために、記録を取る

読者は、学ぶことを誰に要求されたわけでも、強いられたわけでもない。独学者の学びは、何事にも責任を負わず拘束されないかわりに、何によっても保障されない。

(中略)

学び始めるのもやめるのも、何を選んで学ぶかも独学者の自由だが、その反面、挫折・中断しがちであり、また安易な道や視野の思い込みにも陥りやすい。

独学大全P9

記録を取るものは向上する。

これはすべての独学者が心に刻むべき金言である。

独学大全P166

独学は、始めるのも簡単ですが、やめるのも簡単です。継続のためにも、記録することが大切です。

「同じ本を読む者は遠くにいる」という言葉がある。スタンドアローンで存在しえないのは、知識も人も同じだ。独学は、そうした知識と先人に自らを結びつけることを言う。

独学大全P171

独学者は決して一人ではない。同じ本を読んでいる人はどこかにいる。学ぶものも周りにいるはずです。

4.独学者は、ひそかに「私淑する」

私淑とは、実際に会うことができない人物を師と仰ぐことである。つまり遠すぎて会いに行けない人物や、既にこの世にない人物も、師とすることが出来る。

独学大全P178

私淑とは、直接教えを受けることはできない相手を、ひそかに尊敬し、模範として学ぶこと。また教えを受けたことはないが、尊敬する人を師と仰ぐこと、をいう。

私淑は、その対義語である親炙(その人に親しく接して、その人から感化をうけること)とともに、『孟子』を初出とする言葉だが、その方法は古今東西に見られる。

独学大全P182

「私淑」という言葉を初めて知りました。私淑により「無数の師を持つことができる」というのは、素敵な考え方です。

教え導く者を持たない学びを独学と言うのだとすれば、独学者が師を持つというのは語義矛盾でなないだろうか。しかし独学は孤学ではない。自立した人の実態が、何人にも依存しないのではなく、なるだけ多くの人に薄く広く依存するものであるように、独立独歩の道を行く独学者もまた、何人にも師事しないのではなく、無数の師を持つことができる。

独学大全P183

目標とすべき人や、悩みに答えてくれる師匠を持つことで、独学の弱点でもある”独りよがり”にならずにすみます。

私淑の骨法は師匠がいつどんな場合に何をやってきたかという事実を集めることに留まらず、「仮想の師」という人格モデルを作り上げ「この人ならば、こんな時にどうするだろう(行動)?どう考えるだろう(思考)?」という自問自答を繰り返すことにある。

独学大全P184

自分以外の目線を持つことは、視野を大きく広げます。自分の目標とする人がどういう言動を取るだろうかと深く考えていこう。

5.「会読」は独学を助ける

独学が挫折する大きな原因である「自分一人では理解できないこと」についても、会読は助けとなる。
まず自分以外の参加者が運よくそこを理解しているかもしれない。さらに幸運なら、その人はあなたにわかるように説明できるかもせいない。

(中略)

「自分以外の人もわからないのだ」と知ることが、あなたの心を支える。

独学大全 P191

会読する人を見つけられない時はどうすればいいか。
一つの方法は、一人でも始めてしまうことだ。インターネット上で本のタイトルで検索すると「一人会読」している人が、結構いる。

(中略)

一冊の書物をただよむだけでなく、他人にもわかるように文章化することは、何よりも理解を助け深める。インターネットをつかえるなら、一人会読の要約(レジュメ)はぜひともネット上に公開するべきだ。誰かわからぬが、誰かが見ている(かもしれない)事実が、継続を支える。

(中略)

インターネットはそのことに(以前にも増して)気付かせてくれる。あなたが何かを読み始めようとする時、書名で検索すれば、この世界で我々は孤独でないことを知るだろう。
朋友、遠方に在り。それもまた喜ばしからずや。

独学大全P193

みんなで学ぶ読書会は広く行われている。自分の考えを整理すること、周りの捉え方を学ぶこと。学びがより深くなるでしょう

最近時は、オンラインでの読書会も開かれているので、活用しない手はないです。

悩み事は、注意という認知資源を大量に消費する。知的営為に振り分ける分は残らなくても無理はない。しかし知ることや知識は、ありあまる資金や時間を持っている者だけに許された贅沢品じゃない。むしろ俺たちが手にことができる知識の多くは、かつて誰かが悩み、取り組んだ問題解決の成れの果てだ。

独学大全P213

6.百科事典は、あなたが知っているべきことが書いてある

百科事典には、あなたが知りたいようなことは書いていない。むしろ、あなたが知っているべきことが書いてある。

独学大全 P292

「百科事典には、あなたが知りたいようなことは書いていない。むしろ、あなたが知っているべきことが書いてある」

言葉もめちゃくちゃいいです。

百科事典はとっつきにいものという印象がありますが、まず知るきっかけになるものだととらえ直せます。

初めてのトピックの場合、複数の辞書を横断検索できるコトバンクを使うとよい。ここで表現の揺れやスペルチェックし検索に使う検索フレーズを収集する。

独学大全 P244

百科事典の記述は、一冊の本と比べればずっと短い。これは本格的な検索を始める前の予備調査に適した特性である。後ほどもっと大部なもっと専門的な文献にあたるとしても、事前に概要を知っておくことは、その後の理解の深さや速さを改善する。

独学大全 P290

7.ゼロから始めようとするな

既に多くのことに取り組んできた先人がいるおかげで、我々は自分の知的営為をゼロから始めなくて済む。100年前、いやほんの数年前の人たちが望むべくもなかった進んだ地点から、我々は取り組むことができる。そう、こうした先人の知的貢献にアクセスすることができれば。

古人はこのことを「巨人の肩の上に乗る」と表現した。

独学大全 P264

「巨人の肩の上に乗る」

ニュートンが用いたことで有名な言葉です。

現代社会が先人の知恵の上に生きてることのありがたさ、またそれに対する謙虚さを忘れてはならないことを思い返します。

幸いなことに、良質な一般書には、その書物が前提し依存する選考文献が、文献リストや注釈の形で示されていることが多い。
(中略)

これらの書では、文献だぐりよせの技法を使うことができる。

独学大全 P264

8.学びの第一歩は、「教科書」から始める

教科書は、入門書+事典+書誌を兼ねた第三のレファレンスツールである。
取り組んでいるテーマについて繰り返し調べる必要がある場合やその分野を本格的に学習しようとする場合には、該当する教科書をあらかじめ手元に用意しておくことが望ましい。

独学大全 P326

自分に必要な情報は、一冊にまとまっていることは少ないが、図書館のあちこちに分散して存在している、という話をしただろう。よくできた教科書は、その分野の一流の研究者が、二流三流のものを含めて膨大な研究を読み込んで、わかりやすくまとめたものだ。

独学大全 P283

実は必要な情報は、図書館のアチコチに点在しています。教科書は、それらをわかりやすくまとめたものであり、きっと初学者の強い味方になってくれるでしょう。

一つの書物について様々に読み方が積み重ねられ、読み方の蓄積がさらにまた別の書物を生み出すに至った書物を、我々は経緯をこめて「古典」と呼ぶ

(中略)

過去とは、二度と省みられない廃棄物なのではない。それは我々の現在を支える大地なのだ。焦りに我を失い、浮ついた自身に気づいた時、自分がどこへ向かっているのかさえ見失った時、再び現在という地表を踏みしめるために、書物の遅さ・変わらなさは救いとなり恵みとなる。

独学大全 P350

9.点の読書、線の読書、面の読書

目掛けた一冊(例えば誰かに勧められた書物)だけを読む、孤立した読書を<点の読書>と呼ぶ。
知識がそうであるように、あらゆる書物(文献)もスタンドアローンでは存在できない。一冊の書物、一冊の文献は、他の多くの文献と、参照関連や影響関係を介して、直接・間接的につながっている。そのつながりを追って進む読書を<線の読書>と呼ぶ。

さらに、文献同士を結ぶつながりをまたいで、あるいは逆らって、文献と文献を突き合わせ縒り合わせて、著者も予期していなかった線(結びつき)をいくつも作りながら、編み上げながら進む読書を<面の読書>と呼ぶ。

独学大全P382

「点の読書」から「線の読書」へ。そして「面の読書」へ続く。

まるで旅をするように読書をしていきます。

独学者は生徒(学び手)と教師(教え手)の一人二役だ。学び手として進歩すれば、教え手としても進歩する。こうして進歩に正のフィードバックがかかり、独学の学びは指数的・幾何級数的に向上する。

独学大全 P419

偶然目にした1冊の書物に飛びつく代わりに、同じテーマを扱った複数の書物を常に求め、それらの存在を意識するようになると、書物への信頼に寄生するデマ本に気づき、その他のまともな書物を手に取る目利きになれることだ。
(中略)

一冊の書物でなく、書物の森を見ろ。

独学大全 P425

今日のまとめ

独学大全からの学びをまとめてみました。

時折振り返ることで、学ぶ喜びを改めて感じられるでしょう。

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