歴史系音声メディア「コテンラジオ」が大人気ですが、それは歴史から多く学び、現代を読み解く力に強く惹かれるからだと言えます。
代表の深井龍之介さんが、現代人が向き合っている課題を上げていましたので、
今回は備忘録的にまとめてみたいと思います。
目次
現代人が抱える6つの問題
①人権の課題
②市場経済の課題
③国家安全保障の課題
④自己実現の課題
⑤労働者としての課題
⑥国の経済成長が止まりフロンティアがない & 社会保障が維持できない課題
すぐにイメージできることもあれば、わかりずらいこともあります。
次からひとつずつ見ていきたいと思います。
①人権の課題
①人権の課題
人権が広がり続けているが、どこまでを人権と認めるかの課題
"フランス革命以降、人権の概念が生まれたものの、世界は全く実装できていなかった。それを200年ぐらいかけて、これまで徐々に実装してきた。"フランス革命以降、人権の概念が生まれたものの、世界は全く実装できていなかった。それを200年ぐらいかけて、これまで徐々に実装してきた。
一方、コミュニケーションの技術革新が10年前に起きて、スピードが上がっている。女性問題、LGBTQ、インクルージョンなど新たな情報がSNSを通じてバンバン来る。
個々人がそのような情報を直接的に目にして、人権に対する進歩的な考え方を多く知る一方で、民主主義の制度はなかなか変わらない。
だからこそ、ギャップを強く感じているのではないか。"
人権問題が近年大きく広がっていることは多くの方が感じていると思います。
しかし、それをどこまで認めるのかは難しさがあります。一方の意見を尊重することは、もう一方にとって不利益を被ることもあります。
②市場経済の課題
②市場経済の課題
金融資本主義に象徴される課題。
端的にいうと優秀なリソースが社会善ではない事業に注がれる課題 環境問題と結びつけられることが多いが、個人的には環境問題より優秀リソースをどこに回すかの課題だと思ってる
市場経済について、深井さん自身が追加で以下のコメントしています。
“僕は市場経済を全く否定しておらず、その恩恵を良い点を生かしつつ、ブラッシュアップする必要があると思っています。
その突破口となるなあと感じているのが、すでに変容を始めている労働市場です。労働市場というのは労働力の売り買いをしている市場のことなので、まあいわゆる雇用です。
大企業でもスタートアップでも新規事業の開発が出来るレベルの人材を喉から手が出るほど欲していますが、新規事業開発というのは頭が良いだけではできません。周りの人間に影響を与えるレベルの意志、様々な困難を経験してきた経験値、前提としての地頭の良さ、そしてビジネススキルと市場の一般通念への理解。
新規性が高ければ高いほど、かなり色んな要素が要求されるのですが、新規事業を開発できるような人材というのは上述の通り、様々な困難を経験したスキルだけではない強い意志を持った人間なので、必然、仕事に強い意味を見いだしています。また見いだせる仕事しかしようとしません。
従来、市場経済のよいところは「倫理のない」ところだったと思います。倫理(恣意性)がないため、様々な機会提供があり、様々な試行錯誤があったわけです。一方、倫理がないが為の問題も沢山発生している。
しかし現在の労働市場は報酬だけでは動かない。なぜなら、AIで当面代替できなさそうな優秀な人材ほど仕事に「意味」を見いだしているからです。
そして時代は人的資本経営。すべてのリソース(人・モノ・金)のなかで圧倒的に人が重要だと言われています。
労働市場でクオリティの高いモノ(つまり新規事業の開発が出来るレベルの優秀な人材)を購入しようとすると、必然、事業に強力な意味を与えねば、購入が出来ない(報酬だけでは雇用が出来ない)というコトになります。
昔もその傾向はあったでしょうが、人的資本経営が叫ばれ、かつ労働者自体も意味を見いだす傾向が強くなる今、労働市場の一部(ごく一部ですが重要なところ)が、市場原理から少し変容しつつあると思います。”
③国家安全保障の課題
③国家安全保障の課題
パクスアメリカーナが終了して国際秩序が今までと変わっちゃった問題
「パスクアメリカーナとは、超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」のことです。(ローマ帝国の全盛期を指すパクス・ロマーナ(ローマによる平和)に由来しています。)
深井さんは、「パクスアメリカーナ」が2009年頃に終わっていてる感覚であり、アメリカが担保していた一強時代が終わっていて、5~7つほどの群雄割拠が始まっているとしています。
いつかの萌芽が出ており、戦争が一番わかりやすい例であるが、エンタメでボリウッド(インド映画)やK-POP(韓国音楽)が流行っているのも、その一例ではないか。今後は、西洋の価値観にひたすら憧れることはなくなっていくのではないかとの見方もしてます。
最近時のロシアとウクライナの戦争、パレスチナ問題を見ても、アメリカ一強の時代が終わったことを強く印象づけられます。
④自己実現の課題
④自己実現の課題
人権と強く関連するが、自己実現をしないと幸せになれない感覚を持っているのに自己実現が何かわからない課題
このあたりの表現が深井さんらしくていいなと思います。
現代はこれまでの時代に比べ物質的な豊かさがある一方で、「どうすれば幸せになるんだろうか」という漠然とした気持ちを抱えている方も多いのではないでしょうか。
人類史における拡大・成長と定常化のサイクル
京都大学こころの未来研究センター・広井 良典教授は、上記の「人類史における拡大・成長と定常化のサイクル」を使って、現代は定常化③に差し掛かっていると指摘しています。
”人間の未来は、「拡大・成長」から「定常化」へと移行できるかどうかにかかっています。そのためには現在の社会システムや人々の価値観に対抗する全く新たなパラダイムが求められます”
拡大成長が止まる中で、個人も新たな価値観を求めているといえるでしょう。今はまさに転換期、過渡期であるために、戸惑いも大きいように感じます。
⑤労働者としての課題
⑤労働者としての課題
人権と自己実現と強く関連するが、好きな場所、人、仕事内容で働きたいけど、市場経済上で評価されないとできない課題
労働による制約で生活コスト(核家族で子育てが大変とか、ご飯作る時間がないので外食になって食費増えるとか)が高くなる課題
深井さんは別のツイートでこんなことを言ってました。
”今リソース足りなくてできないが、どっかのタイミングで人類が今までやってきた歴史上の子育てのパターンをわかる限り全て列挙し、 我々の今の子育てスタイルに対するクリティカルシンキングをしたい。
全パターン見てから 今の子育てのスタイルの良いところと悪いところを把握し未来を指向したい。
「高度経済成長期から出てきた核家族子育てスタイルがスタンダードだと(多くの人々が)思う。」とかは歴史の勉強で避けられる。”
⑥国の経済成長が止まりフロンティアがない & 社会保障が維持できない課題
⑥国の経済成長が止まりフロンティアがない&社会保障が維持できない課題
人権と自己実現と強く関連するが、国の経済成長が止まりパイの奪い合い状態に突入してる(国による)また社会保障が維持できないけど解決策がない
国との信頼問題が薄れている中にあっても、”介護問題”には最後に期待している。しかし目の前には「2025年問題」がある。
「2025年問題」とは、日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されることを指します。
2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という「超高齢化社会」を迎える。
4つの解決策
上記が①の人権の課題をベースとして全て繋がって関連しており、個別解決出来なさそう。
解決策として有効そうなのが
・課題を認識した上で実験的に色々やってみる
・テックを使って信用スコア(現在はお金だけ)付けをブラッシュアップする(ただしさまざまな課題を孕む)
・優秀でどこでも引く手数多の労働者が社会善につながる仕事を選ぶ
・個人(インディビジュアル)の概念をもう少し広げるかダブルスタンダードで考える
今日のまとめ
深井さんのコメントで出てきた項目をまとめて、関連した事項を集めてみました。
これをベースに”今”を考えてみると、いろんなものがつながっていくと思います。
▼ 合わせて読みたい