心理的安全性は、最近よく耳にする言葉です。
働きやすい職場にするためにも大切だとの認識は広まっています。
今回は、グーグル出身のピョートル・グジバチ著の「心理的安全性 最強の教科書」を読んで、特に印象に残った3つのポイントをまとめました。
目次
1.心理的安全性は手段であり、目的ではない
最近よく言われる心理的安全性ですが、「対人関係においてリスクのある行動をとっても、”このチームなら馬鹿にされたり罰せられたりしない”と信じられる状態」を意味します。
著者のピョートル氏は、「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること」と言っています。
心理的安全性の本質は、表面的なやさしさで良好そうな人間関係を取り繕うことではありません。「自分らしく周りの人に接することができる」ことです。
職場ではむしろ「健全な対立」があるほうが心理的安全性があると言っています。
そして、もっとも大切なことは、心理的安全性はあくまで組織の生産性を高めるための手段のひとつであり、ゴールではないということです。
マネージャーにとって大事なことは2つのことです。
・職場は成果を生み出すための場所
・マネージャーにとってのゴールは成果を出すこと
2.職場のルールと対話
職場で働くルール(=構造)を明確にする
職場に不可欠な要素は、「構造」と「対話」です。
ここでいう構造とは次のようなものを挙げています。
:ビジョンミッション、チームが目指す目標、評価の基準、仕事の役割分担、ゴール、職場で求められるプロセス
構造が明確な職場では、お互いに意見を言い合いながら安心して働くことができるでしょう。
ルールがあるから全力でプレイできる。職場で働くルール(=構造)を明確にすること
「対話」を通じてポジティブな意図を共有する
「会話」は、いわゆる日常的な会話のことです。
一方、「対話」はお互いの理解を深め合うことで行動の変化を生み出していく「創造的な会話」のことです。
対話を通してその奥にある意図を探っていくと、お互いのポジティブな意図に気づくことがあります。
「私の考えはこうだけど、あなたはどう?」と対話することで、お互いを認め合い、相互理解を深め、尊重し合える状態をつくっていくことができるのです。
「心理的安全性最強の教科書」p.111
意見がそれぞれ異なるのは当たり前、対話を通してお互いの価値観を認めあうことが大切。
そして、異なる価値観に対して寛容であり続けることです。
3.マネージャの自己認知と言語化
マネージャーが率先して心理的安全性を高めるための行動をとることも非常に大切です。
部下を持つマネージャーの心理的安全性が低くては、職場がよくなるはずがありません。
中間管理職の場合、上と下の板挟みであること、横からのプレッシャーが心理的安全性を低くする要因となりえます。
自己認知と言語化
マネージャーに求められることは、自分のことをよく知り、理解し、それを周囲に伝えること。
つまり、自己認識とその言語化です。
「自分を知る」ことは、「自分らしく生きる」ための羅針盤を手に入れることです。
自分の価値観、信念、期待感を言語化するのです。
自己認識とその言語化は社会人としてのたしなみと言えます。
雑談や1on1を通じて
・「雑談」はメンバーのことを知る「診察」
・「無条件の肯定的関心」をもつ。自分の価値観や意見は一旦横において、なぜ相手がその話をするのか、否定することな傾聴する
・ビックリ評価を避ける
・たとえ厳しいことでも「早く」「ストレートに」伝える
相手と良い関係、つまり「ラポール」があれば言葉の使い方はあまり問題にならない
ハイコンテクストな文化にあぐらをかいているうちに、相互理解が不足して、心理的安全性が置き去りにされています。
感情はあって当然。感情に気づいて、建設的な表現に言いかえる。
今すぐできることを探して、とにかく早い段階から手足を動かしてもらう
今日のまとめ
心理的安全性についてまとめました。
以前も本を関連書籍を読んで学びましたが、今回改めて、心理的安全性とは何か、何のために必要なのか、を考え直すきっかけになりました。
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