読書

生き方を見つめ直す。『生きる技法』にある「自立とは依存することだ」の意味を考えてみよう。

2021年1月5日

ふとした読んだ一文で、自分のモノの見方ががらりと変わることがあります。

生きる上で大切な「自立」について、ちょうど読んだ本の一冊に書いてあった言葉から、いろいろと考えをめぐらすきっかけになりました。

今日は、その「自立」についての意味をお伝えしたいと思います。

『生きる技法』を読み、「自立」の定義を考え直す

死生観を学ぼうと本を探していたところ、Amazonでおススメしていた『生きる技法』(安富歩)が気になったので読みました。

そこに書かれていた最初の言葉に正直驚き、考えされられました。

自立とは、多くの人に依存することである

『生きる技法』(安富歩)

著書にも書かれていましたが、多くの人が「自立するということは、誰にも頼らない事だ」と認識しているのではないでしょうか。

一般的に思い描くのは、高校や大学を卒業し、社会人として、一人前の大人として、親元から独立していく。親の依存状態から離れていくこと、それを「自立」と考えるような気がします。

しかし、著者は自立を「他者への依存からの脱却」と捉えることを間違いだと断言します。むしろ、多くの人に依存することが「自立」につながるのだと言っているのです。

「バリバラ」を見ていて感じた疑問が急に解ける

本を読んでいて思い出しだのは、少し前にNHK「バリバラ」という番組を見ていて感じた疑問でした。

※「バリバラ」は、生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」にとっての“バリア”をなくすをテーマにしている、障がい者やセクシャルマイノリティーの方も多く参加する番組です。

顔以外はほとんど動かすことができない難病なのに、寝たきり芸人をやっている「あそどっぐ」さんを支えるヘルパーさんにスポットを当てた回でした。

僕の勝手なイメージでは、自分の体も動かせないほどの障がいがある方は、家族がつきっきりで介護しているのが当たり前だと思ってました。

しかし、実際のあそどっぐさんは、24時間介助を受けながらなんと一人暮らしをしているのでした。

体が動かない障がい者がどのようにしているかと言えば、実際には約15人のヘルパーさんが、かわるがわる支えているとのことでした。

中には10年以上サポートをしているヘルパーさんまでいました。

まさに「生きる技法」で定義された『自立』とは、こういう事なのか!と強く感じたのでした。

(ちなみに、大泉洋さんの主演映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」でも同じことを感じました。めちゃめちゃ素敵な映画で、おススメです。)

例えば、親一人に頼りっきりになっている場合は、親しか頼れない状態になります。少人数の他者に依存する状態(=従属)となっています。

一方、あそどっぐさんの場合は、数多くの人に支えられた生活が出来ているのです。仮に一人の方がヘルパーをやめても、急に生活が出来なくなることはないでしょう。

彼は重い障がいがあっても、支えてくれる人(=依存できる人)が多くいるので、「自立」できているのです。

「生きる技法」の中でも、こんなことも書かれています。

依存する相手が増えるとき、人はより自立する。

『生きる技法』(安富歩)

自分一人では生きられない、多くの人がいればこそ自立することが出来る。

あそどっぐさんを見ていると、よく理解できませんか?

「多くの人に依存」するために必要な3つの事

あそどっぐさんが多くの人に依存することが出来るのは、彼のキャラクターによるところも多分にあると思います。

実際に、重い障がい者の方が施設に入らないで一人暮らしを出来るのは、かなり特異な事例であると、番組内でも紹介されていました。

それでも、障がいのある方にかぎらずですが、「自立」(=多くの人に依存)するためには努力する部分もあるのではないでしょうか。

結局、受け身では自立などできるわけありません。

自立しようと思えばこそ、努力して自分と周りを少しずつ変えていくことが出来るのです。

1.自分自身を大切にすること(=自愛)

まず第一に、自分自身を大切に思うことが大事でしょう。

「生きる技法」の中でも関連する言葉として、『自愛』について述べられていました。

自愛とは、自らその身を大切にすること

『生きる技法』(安富歩)

だれも価値のないと思っている人を、赤の他人は助けようとはしません。

自分自身を大事にするからこそ、周りの支援も得られるし、多く人が支えてくれるのではないでしょうか。

2.周りへの関心

依存することとは、つまり周りとの関係性を築くことです。

自分がよく生きようとすれば周りとの関係を常に良好にしていくべきです。

そのためには、常に周りへ関心を持ちましょう。関係を築く第一歩としてなくてはならないものです。

マザーテレサの言葉として、次のようなものがあります。

「愛の反対は憎しみではなく無関心だ」

自分が周りに関心がなければ、周りが自分を気にかけることも恐らくないでしょう。

まずは周りに関心を持つことから始めてはいかがでしょうか。

3.感謝の気持ち

生きているだけで幸せだと考えて、どんな小さなことにも感謝の気持ちを持つことも大切です。

自分一人では生きられないからこそ、周りのサポートにも感謝の念を忘れずにしたいものです。

さらには、うまくいっても行かなくても周りのおかげで自分があるという感謝できる姿勢をもちたいと思っています。

今日のまとめ

使っている言葉の定義することは、考え方をとらえ直す意味で非常に重要なことです。

今回の「自立」という言葉を通して、どう生きるかを見つめ直すきっかけになっていくのかもしれません。

【合わせて読みたい】

人生観を大きく変えた本>>>「夜と霧 新版」を読み、学び、考える。

-読書

© 2024 大人の再学 Powered by AFFINGER5